グノーシア用語が「わかった」になる元ネタ調査集
ロジック底辺の私でも
セツの「わかった?」に
「(言葉の意味は)わかった」と言いたいだけの自分用まとめです。
考察の一助になれば幸いです。
プレイの進捗により随時更新予定。
特記事項解放ができるようになるあたり以降の情報はネタバレ防止のため畳みます。
現在の進捗:LOOP 30くらい(イベントサーチ解放後)
グノーシス
参考:グノーシスとは - コトバンク、グノーシス主義 - Wikipedia
(理解不足が否めないため余力ができたらきちんと調べ直します…。私が読み違えていると言うご指摘や、良い情報源等あればコメントで頂けますと幸いです)
紀元1世紀頃、キリスト教の興りと同時期に生じキリスト教の一派から広まった思想・宗教観*1。
Wikipediaでは「自己の本質と真の神についての認識に到達することを求める思想」と説明されており、「反宇宙的二元論」が様々なグノーシス主義の共通点として挙げられています。
「反宇宙的二元論」の「反宇宙的」とは、この宇宙が完璧ではないのはこの宇宙が「悪」であるからだということ。
この考えに色々な「二元論」が付随しているわけです。
- 悪の宇宙(この宇宙)があるなら善の宇宙もある
- 悪の世界を作ったのは偽の神であるから真の神も存在する
- 悪の世界は物質で構成される。真の世界はイデアーで構成される
- 物質で構成される肉体は偽の存在。イデアーで構成される霊が真の存在
善 | 悪 |
---|---|
(きっとある)善の宇宙 | (この不完全な)悪の宇宙 |
(↑を創った)真の神 | (↑を創った)偽の神 |
(善の世界を構成する)イデアー | (悪の世界を構成する)物質 |
(↑で構成される)霊は真の存在 | (↑で構成される)肉体は偽の存在 |
こうして見てみると、セツが教えてくれるAC主義の解説に大体当てはまっていますね。
シンボルマークは十字に丸。タイトル文字の"O"、セーブスロットのSQのイラスト(グラフィック担当 ことりさんのこちらのTweetではっきり見ることができます )、読み込み時の画面、そして銀の鍵の形状*2などでゲーム中にたびたび登場しています。
読み込み画面と銀の鍵の図柄は、シンボルマークを囲むようにギリシャ語で
「疑うな。畏れるな。そして知れ。全ては知ることで救われる」*3と書かれています。
グノーシスは古代ギリシア語で「認識・知識」を意味する、ということを意識した言葉なのでしょうか。*4
銀の鍵
H. P. Lovecraft 著の "The Silver Key"(『銀の鍵』) と "Through the Gates of the Silver Key"(『銀の鍵の門を越えて』)などに登場する、クトゥルフ神話のアーティファクトです。
クトゥルフ神話での銀の鍵は、古代地球で作られた2m近いアラベスク模様の鍵で、
時空を超えてあらゆる場所に行くことができます。クトゥルフ神話の体系では主神アザトースに次ぎ外なる神の副王である、ヨグ=ソトースに会いに行ける「鍵」でもあります。
ヨグ=ソトースは全ての時間軸および空間に隣接するとされ、「存在」「実体」「空虚(void)」「全にして一」「一にして全」などと描写されます。
狂える神々
夕里子が言及したプレイヤーに干渉していた存在です。
お前という存在への認知が、歪んでいるからです。狂える神々の干渉によって
狂える神々といえばクトゥルフの神話存在をイメージしてしまうのですが、『グノーシア』ではグノーシス主義における悪の神をイメージしていると考えた方が順当でしょうか。このゲームにはクトゥルフのエッセンスもグノーシス主義のエッセンスも織り込まれているので、現段階ではどちらかに絞ることができません。(ストーリー進んで情報が増えたら明確化するのかもしれません)
因みにこの台詞の前に、夕里子が以下のような発言をしています。
彼方の星々が、よく見えるでしょう
そして星々はお前を見ている
こちらはニーチェの "Jenseits von Gut und Böse" 『善悪の彼岸』146節の言葉「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」を意識していると思われます。
これは自分が相対するものに呑まれないよう気をつけろ、というような意味合い*5ですが、「深淵」というワードの関連からかクトゥルフ神話関連の創作でも割と見る言葉です。
汎性
『万物理論』の「汎性」
🦺🚧……近日更新予定です……🚧🦺
現実世界と「汎性」*6
英語版だとプレイヤー登録画面ではnon-binary*7(日本で言うXジェンダーに近い)、
キャラクターのステータス画面では N/A(Not Applicable 該当無し)。
ただし、プレイヤー登録画面における汎性の説明文を見ると以下のような違いがあります。
・後天的に選べる
→現代では、所謂「心の性別」は先天的なものとする考え方も多いです。*8
・無性とも呼ばれる
→non-binaryおよびXジェンダーは「その他」の性の呼称であり、中性、流動性のある性、無性等々様々な性が纏まっているカテゴリのようなものです。
・男女の身体的特徴を排除している場合が多い
→non-binary と言う言葉はバイナリでない=男女の二元論に当てはまらない
という成り立ちを持ち、
Xジェンダーという呼称はどちらかというと
ジェンダー≒社会的性別あるいは精神的な性別に重きを置いた成り立ちの言葉であることから
双方とも身体的特徴の排除に関してはあまり問われないことが多いという印象です。
手術で性器など性別を意識させる身体の部位を切除される方もいますが
そうでない方もたくさんいます。
また、プレイヤーが汎性であるとゲーム上恋愛イベントが起こらないようになっていますが、Xジェンダーあるいは non-binary であることと恋愛関係や性的な関係を望まないことに直接的な関係はありません。
恋愛・性愛の関係を望まない恋愛・性的指向という点ではアロマンティックやアセクシャルの要素も入っていると思われます。*9
*1:キリスト教に関わる範囲が「グノーシス主義」、それ以外も含めたものが広義の「グノーシス」と一応定められていますが、同義語として使われることも多いとか
*2:正確には2匹の蛇で構成されたウロボロスの○、十字に加えて4時の方向から10時の方向に斜めの一直線が入っている
*3:おそらく「μή φόβος μή ύπόπτενε ή γνώσις σώζει τόν(τον?) κόσμον」
*4:この言葉が何かの引用である可能性を考えて調査もしましたが、オリジナルの言葉のようです。
*5:「ミイラ取りがミイラになる」と同義と説明されているのをよく見ます
*6:お願い: 記事のタイトルこそ「元ネタ調査集」ではありますが、 特に汎性に関してはあくまで『グノーシア』作中の性別であり、現代の現実の性別のどれかと全く一緒と言いたいわけではありません。
人間のパーソナリティに深く関わるデリケートな部分でもあるため汎性に関しては特に、
ここで紹介した現実の性別や恋愛・性的指向と混同・同一視をすることが無いようお願い致します。
*7:英語版だと項目名が「SEX」であり身体的性別っぽく読める気がするので、単に「non-binary」だと汎化の施術がまだの場合に名乗って良いの?となる気もしますが…
*8:近年では社会経験により作られる部分も多いとされることが増えてきているように感じます。もちろん実際に先天的な性自認もありますが、先天的なものと主張されるようになった理由の1つとして「性別を『矯正』しようとする人々を避けるため」というものがあります。その自認が先天的か否かにかかわらず当事者の思いは最大限尊重されるべきです。
*9:どちらかというと、恋愛イベントが起こりうるキャラクターたちがみんな異性愛者だったという方がすっきり理解できる気はします